このおばさんからもっと搾り取れると思ったのだろう。「かじわら」はさらに増資を提案してきた。
10月23日。
かじわら「なるべく資金を集中しましょう。パンドラの箱を思い切って開けて、経済的な自由が手に入ったときに、今やっていることに意味があると実感できると思います。」
一方「金融リテラシー講座」のグループラインでは、週の初めにその週の経済界で起こる予定表をアップ、毎日午前中には前日の株価や金融の流れ、日本だけでなく米国の雇用統計指標など数字を上げて解説、午後には1日の流れを分析する。メンバーの疑問にも詳しく答える。わかりやすい解説だったので「かじわら」はプロトレーダーだと信じた。毎回収益をだすので、腕の良いトレーダーなのだろうと。
FX取引はリスクも高い。いつか消えてしまったらどうしようという不安といつも隣り合わせだった。素人にはムリだがプロトレーダーの指示のもとならできるかもしれない。取引はいつも成功で順調に収益は増えた。収益が増えれば資金に加算されるのでさらに大きな収益を手にできる。
あまりに好調な取引の結果に、不安が払拭しきれたわけではなかったが、まるで作られたシナリオの中に引きずり込まれるようだった。
そういえば、絶対に売らないで一生持っておこうと思った株があった。これどうしよう、とふと思ってしまった。
